第49話 2008/05/15

「Uターンしたトゥクトゥクが突きつけるもの!」
 「便利は不便。不便は便利」という言葉をご存知だろうか?
 このいっけん矛盾する言葉の裏に、実は人の世のややこしい現実が隠されている!?
 トゥクトゥクのリアシートに座り、新宿から神宮外苑をぐるっと約30分かけて走らせてみた。
 トゥクトゥクとは、バンコクはじめ東南アジア各地で庶民の足(タクシー)として大活躍している3輪車である。買い物をした女性が乗っている姿。観光客が名所旧跡めぐりで利用している姿を思い出す人も少なくないと思う。
 もともとトゥクトゥクというのは、車両が発進する際に発する擬音から誕生した愛称で、本来はサムローと呼ばれるのだが、そのルーツはよく知られるように昭和30年代の前半に大阪発動機(現ダイハツ)のミゼット。東南アジア各地に輸出し、これを現地でモディファイしたりして発展したもの。日本でトゥクトゥクの販売をするのはいわばUターン販売と考えられるが、実は、エンジンは中国製の2気筒4サイクルOHC。タイのモニカモータースという自動車製造業社製だ。フロントホイールにはブレーキが付かず(一部車種には付くが)、リアはリーフスプリングで、乗り心地も制動力もなんとも昭和30年代をしてはいるが、100年前につくったT型フォードよりもはるかに居心地がいいし、乗っていて楽しい。360度パノラマビューで、注目度ががぜん高いのである。エアコン、パワステ、パワーウインドウなどモダンな装備はいっさいなしのこのシンプルな3輪車がいやに新鮮に感じられた。
 ちなみに、この3輪車は、日本の法律では「側車」扱い。つまりバイクの扱いだという。
問い合わせ先はイワモトモータース(рO120−414951)。
 ダットサンのルーツは、大正3年(1912年)に橋本増治郎の「脱兎号」である。
 橋本増治郎は、明治8年(1875年)愛知県岡崎の郊外の村に生まれ、浅草蔵前にあった東京工業学校(東京工業大学の前身)の機械科を首席で卒業。その後3年間兵役に服し、愛媛県新居浜にあった住友別子鉱業所の機械保全課に就職するも、東京工業学校の手嶋精一校長の推薦で「農商務省海外実業練習生」に選ばれる。
 橋本は、明治35年(1902年)から3年間、ニューヨーク州オーバン市のマッキントッシュ社で、蒸気機関の製作と設計を学んでいる。当時は、自動車の動力として蒸気、電気、ガソリンが三つ巴で争っていた時代で、ガソリンはどちらかというと少数派。ところが、1901年にテキサスで大油田が発見されることから、いっきにガソリン車が時代の主役に躍り出つつあった。その代表選手がオールドモビル社の「カーブドダッシュ」であり、その後フォードのモデルTへとつながる。
 ここで、思い出して欲しいのは日本の「文明開化」は実は蒸気機関からスタートしていることだ。鉄道、造船、鉱業、紡績など当時の主要産業はすべて蒸気機関だった。そのため橋本もアメリカで蒸気機関のテクノロジーをおもに学ぶのである。ところが、その橋本にも時代の潮目が感じられ始める。休日を利用して、シカゴとデトロイトに出かけた橋本が摩天楼(高層ビル)から見たものは、“黒いアリ”とも表現できるガソリン自動車だった。(次号は橋本増治郎のその後)
 自動車とは現在直接関連はないが、近い将来お近づきになる科学や装置というものがある。
 さしずめ「カロリーアンサー」(ジョイ・ワールド・パシフィック http://www.j-world.co.jp/)はその第1候補になると睨む。
 カロリーアンサーとは、食品の熱量(カロリー)をたちどころに測定できる21世紀型先端装置である。電子レンジほどの大きさの箱に食品を入れ、スイッチを入れればその食品のカロリー量が表示されるため、スーパーマーケットの惣菜コーナーや大手外食チェーンなどの楽屋裏で大活躍しているそうだ。いまやファミレスのメニューには、カロリー表示が謳っており、メタボが心配なお客はそれを参考に注文をすることがあるからだ。
 この装置の原理は、近赤外光という光を食品にあて、反射してきた光でその食品の吸光度を測定、そこからカロリー計算するという。重量が同じでも脂身の多い牛肉と少ない牛肉のカロリーさも正確に出る。測定時間は約3分で、従来方式の理化学分析と比較して誤差はわずか10%だという。
 ここまで読んで、現在直接クルマとはかかわりない装置だが、クルマに乗る人の体重がもし10s軽ければ、車両重量10s軽いことと同義語。これまであまり言われてこなかったが、実は乗員の重量軽減はクルマの燃費に直接反映する。だとするとカロリーアンサーは燃費削減大作戦のキッカケになるかもしれない!?
★伸縮式フレックスロック・ラチェットハンドル
 可変吸気システムに可変バルブタイミング、可変バルブリフト機構などいまどきのクルマのエンジンは、≪可変≫というのがキーワード。これにより高出力なのに燃費がよくて低速トルクも侮れない! 実はこれって、一昔前ではありえない性能を出せる理由のひとつなのである。
 可変メカニズムをラチェットハンドルに取り入れたらド〜なるか?
 そんな壮大なココロザシを製品に込めたラチェットハンドルがデビューしたのだ。
 前回に引き続きスエカゲツールhttp://www.suekage.co.jp/の製品。「伸縮式フレックスロック・ラチェットハンドル」という商品名のラチェットハンドルがそれ。
 ハンドル自体が2重構造になっていて、全長255mmから最大370mmと6段階で調節できる。普段は一番短い状態で使っているが、いざ大きなトルクをかけたいときは最大限に延ばし使えば固く締まったボルトも楽々緩められるという寸法だ。
 しかもヘッド部がフレックス機構になっていて、180度首を振ることができる。12段階15度刻みで角度調整して固定できる。ラチェットのギア数は、72山(送り角5度)でしかもヘッド角度を細かく調整できるので、振り幅が制限される場所でも使いやすいというのが最大のウリだ。グリップは樹脂製。差し込み角は3/8インチ。プッシュボタン式なので、ソケットの脱着もしやすい設計だ。価格は、7,900円だという。
次回は2008年6月1日掲載予定です。どうぞお楽しみに!

有限会社昭和メタル