第57話 2008/09/15

「日産の次世代車両EV(電気自動車)の完成度は?」
 「EV車ならライバルの自動車メーカーであるトヨタやホンダに負けないほど業界をリードする自信があります」
 というのは現場に居合わせた日産の役員の気持ちのようだ。
 08年の夏。横須賀にあるテストコースで、次世代型車両を試乗することができた。
 次世代とは燃料電池車であり、ハイブリッド車であり、電気自動車だ。うち燃料電池車は発売のめどが立たず、庶民がマイカーとして視野に入れるにはずっと先。EV車とハイブリッド車は、2年後の2010年には市販すると明言するだけに、つぎ僕たちが手に入れるクルマとして大注目だ。
 ハイブリッド車は、FRのスカイラインのボディにシステムを搭載したものを試乗した。エンジンとトランスミッションの間にジェネレーターを挿入したタイプで、既存の部品を最大限使え、価格を抑えることができそうなところがアドバンテージ。だが、乗ってみると試作車ゆえか、ノイズと振動が多くあまりいい印象ではなかった。
 これに反してEVのほうはガゼン好印象。
 キューブのボディに80Kwの新開発のモーターを載せインバーターシステムとの相性も良いらしく、力強い加速で、ぐいぐい走ってくれた。電池は、ラミネートタイプのリチウムイオン電池だ。制御次第で、低速よし、高速よしのドライバビリティが得られるという。ユニットによる室内空間の犠牲がやや課題だが、完成度は高かった。2年後の専用デザインボディによる発売が期待できる。さらに2014年にはこのEV,世界戦略車両としてグローバルに登場するという。
 実用自動車は、天才的なアメリカ人エンジニアのウイリアム・ゴーハムの腕にかかっていた。ゴーハムは、父親が商社マンであったことから子供の頃から日本へやってきた親日家。もともと日本へは航空機事業を始めるべくやってきたのだが、時期尚早であることがわかり、日本のモノづくりの確立のために骨を折る人物なのである。
 「ゴルハム自動3輪車」というのは、ハーレーダビッドソンに積まれたOHV空冷の排気量1200tV型2気筒を参考にしたエンジンを載せ、車両重量が約400s,全長2420ミリ、全幅1060ミリ、チェーン駆動で後輪を駆動させ、最高速度30マイル(時速48キロ)を出したといわれる。人力車のモーター付きとして1台1300円で売り出したが、当時T型フォードが2000円だったため商品競争力がいまひとつ。しかも、3輪車なので、速度を出しすぎた状態でコーナリングすると転倒に結びつき、評判を下げてしまった。それでもうしろに荷台を付けたトラックバージョンを追加するなどで、合計300台前後作られたとされる。
 大正12年に完成した「リラー号」は、空冷2気筒1260tの8.4馬力エンジンを載せ、デファレンシャルギアを採用した丸ハンドルタイプの本格的乗用車。全長10尺(約3メートル)、全幅4尺(1.2メートル)、全高5尺8寸(1.75メートル)で幌タイプが1700円、箱型が2000円で、約200台を販売している。
 実用自動車は、当時としては量産設備を持っていた自動車工場といえる。だが、久保田鉄工の農業用の発動機の下請け加工をはじめ、ダイハツや海軍の舟艇用モーターなどの外注部品の加工の仕事でしのぎながら本体の自動車製造と販売に結び付けようとしたが,橋本の快進社同様に不振をかこっていた。実用自動車から見ると「軍用保護自動車の認定」を得ている快進社との合併は有利と見たし、逆に快進社からみれば量産設備を備える実用自動車とともに歩むことができれば光明が見える・・・。
 1926年(大正15年)に2つの自動車会社は合併し「ダット自動車製造株式会社」となる。
 橋本はこの新会社の専務となるが、事実上久保田鉄工傘下の企業。新会社自体が大阪に移ったことなどから、身を引くことになる。橋本はその後、東京でひとり「武蔵野モーター研究所」の看板を掲げ、エンジンの研究を続けるが、事実上の橋本のクルマ造りへの取り組みは終焉している。
 よく知られているように愛知県の豊橋は、ドイツをはじめ世界中から輸入車が陸揚げされる港である。
 今回VW,アウディ、ポルシェなどが日本に上陸してディーラーに配送される指令塔(PDIという)を取材できた。写真のように、上陸したクルマは、まるで白装束の月光仮面のノリである。不織布と呼ばれる衣で覆われ、輸送中傷がつかないようにする配慮である。この到着ドックには、ドイツのエムデン港からパサート、トゥアレグなどが月に2000台、南アフリカからはゴルフ、ポロなどが2000台、メキシコの工場からはジェッタやニュービートル、ゴルフバリアントなどが1000台到着するのだという。約25日間の船旅だという。
 陸揚げされたクルマがそのままディーラーに移送されるわけではない。
 プロの目でいくつものチェックが入る。とくに外観や内装の不具合に関しては厳しい目を向けるユーザーが多い日本市場ゆえ、中にはフロントガラスの交換や塗装面の手直しが入る。エンジンやトランスミッションの不具合チェックは、100台につき1台の割でシャシーダイナモをつかい検査されるという。いわゆる抜き取り検査というものだ。検査終了後、車両は5300台収容できる立体自動パーキングでスタンバイ、その後全国の販売店に運ばれる。
★サイズをカラーで識別できるヘキサゴン・レンチセット
 6角ボルトについで多くなったヘキサゴンボルトは内6角ボルトとか、キャップボルトと呼ばれている頭部がコンパクトなボルト。エンジンのヘッドボルトなどにも多く使われている。
 このヘキサゴンボルトを脱着するのがヘックスレンチ(ヘキサゴン・レンチ)である。ヘックスレンチにも、L字型、ドライバー型、ナイフ型、ラチェットハンドルと組んで使うソケット型などいろいろあるが、使用頻度の高いのはL字型。長いほうの先端部はボールポイントタイプで、短いほうが6角部をしているというのが一般的。ボールポイントは30度ほど角度をつけられるので使い勝手が高い。
 このL字型ヘックスレンチ、全身が金属でしかも細身なのでサイズの読み取りが難しいのが欠点。とくに暗がりだとアウト。そこで樹脂カラーを付け色でサイズを判断できるのが登場した。ANEX(兼子製作所:新潟県三条市)の「スピードハンドル・ボールポイントレンチ」がそれ。このレンチ、サイズが一目で判別できるだけでなく、樹脂カラー付なので早回しもでき、しかも使用頻度の高い8ミリと10ミリにはボールポイントに樹脂ねじを埋め込み相手のボルトをしっかりキャッチして落下を防ぐ仕掛けがある。1.5〜10ミリ、9本組みで価格は8、500円だという。
次回は2008年10月1日掲載予定です。どうぞお楽しみに!

有限会社昭和メタル